■季節限定郷土料理カルソターダ
皆様、前触れなくご無沙汰してしまってどうもすいませんでした。一月分コラムは100%私事でお休みとさせて頂きましたが、また気持ちを新たに新オフィスより2006年も様々なバルセロナ発信ワイン周辺情報をお伝えしたいと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
ドミニク・ムンタネール(カタルーニャ音楽堂の設計者)が携わったお洒落な荘園風オーベルジュ
さて、2月に入ると冬の終幕と春の足音が感じられる地中海沿岸です。この時期ペネデスや他のカタルーニャのワイン産地を訪れると、奇麗に剪定されたブドウの樹が並び、芽吹きを待ちかねている風景を目にします。そこで、カタルーニャ地方にはこの剪定で切り落とされた蔓や枝を燃料として再利用し、12月〜3月の間だけに食べられるカルソターダという郷土料理があります。その造り方も食べ方も大変ユニーク、且つ、面白く、今月はルポ方々そのご紹介です。今週末バルセロナから100キロほど南に下り、この郷土料理カルソターダ発祥の地カタルーニャ州タラゴナ県VALLS村のレストランを訪れました。
カルソターダとは、カルソッツという名の春先に出回る新ネギのバーベキュー料理のことです。伝統的には剪定したブドウの樹や蔓を燃料に直火で、外側が黒く焦げ、中がとろりと柔らかくなるまで焼き上げ、茶色い瓦の上に載せてテーブルにサーブします。初めて食べる人は、瓦の上に乗った真っ黒な物体に驚くこと間違いなしですが、そこで怯んでは大きな損をするのだと先ずは申し上げておきましょう。
手が汚れることを恐れずに、まず片手で根の部分をつまみ、もう片手で先を持って焦げた外側をつるりと剥きます。現れた艶やかなネギの白い部分に特製サルサ(ソース)をたっぷりつけ、後は上を向いて大きな口を開けて、思いっきりカルソッツにかぶり付いて堪能するだけ。口いっぱいに甘くてとろりとした新ネギの食感と青っぽいうまみが広がり、もう1本、もう1本と手が伸びること確実です。
そしてこの郷土料理のもう一つの醍醐味は、あわせるワインの飲み方。スペインにはポロンと呼称されるデキャンタに注ぎ口をつけた形状をしたガラスや陶器製のワイン容器があります。そもそもこのポロンは畑で農作業する時や祭事に皆で口をつけずにまわし飲み出来るように考え出されましたが、一説によるとそのオリジンがここカタルーニャ地方であるとも言われています。言うまでもなくこのカルソッツを食する時、このポロンで白・赤ワインを飲むのがここでの習慣です。
片手でポロンを持ち上げ、注ぎ口を顔に近づけてそこから飛び出すワインを口で受け止める、文章にするのは簡単ですが、これが意外とテクニックを要することは想像に難くないでしょう。慣れない内は、注ぎ初めと最後に必ず口の周りや顎に垂らして苦笑い、写真にもあるように私の場合はおっかなびっくりの及び腰です。でも、地元の人が慣れた動作で肘を伸ばして、ポロンから大きく弧を描いてワインが口に注がれる様を見ると、思わず拍手をしたくなるほどの一種大衆文化の妙を感じるものです。
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