■2006年3月号
2005年のプリムール試飲会(新酒を仲買人、輸出業者などに振舞う試飲会)が始まりました。早速サン・テミリオンなどのボルドー右岸と呼ばれる地区の試飲会に行ってきました。本当に良い出来です。良いワインはいつ飲んでも良い。ブドウジュースでもワインになってすぐでも、10年後でも。こんなに将来が楽しみなビンテージは初めてです。
ご期待下さい。
■体に良いワイン(2)
先月の続きです。
自然派ワインを知る上で、名称が多いのがまず混乱する点ですが、「酸化防止剤」についてもいろいろ言われます。
この酸化防止剤ですが、二酸化硫黄、ソルビン酸などがよく使われています。お買いになられたワインの裏ラベルに、輸入業者の名前とともに、酸化防止剤含むと書いてあるので、聞き覚えのある方も多いかと思います。
まず、ソルビン酸ですが、ワインだけでなくあらゆる加工食品に使われている保存料です。発がん性が疑われたりしていますが、通常の白ワイン、赤ワインには使用されることはほとんどありません。
甘口、中甘ワインに使われることがありますが、基準がとても厳しく、日本の法律で200ml/L認められています。
実際には100ml/Lを超えることはまずありません。この数値は人体に影響が出るといわれている量の1/100です。
次に二酸化硫黄ですが、これは今現在のワイン造りに欠かせません。
ビンに詰めてからの酸化防止が主な役割のような感じを受けますが、酸化を防止するだけでなく、ワインの色をよりよく出したり、タルやタンクの殺菌を行う際にも使用します。また、有害な酵母やバクテリアの繁殖を防ぐ効果があります。
硫黄を燃やすと、二酸化硫黄という物質になります。タルを殺菌する際には、タルの中に硫黄をいれ、燃やし密封します。これを行わないと、タルの木の中に有害なバクテリア、酵母が発生してしまい、ワインの味わいに多大な影響を与えてしまいます。
これに変わるものを研究者は探していますが、未だに見つけることは出来ません。
日本の法律では350mg/L認められていますが、実際には200mg/Lを超えることはまずありません。(通常の赤ワインですと40〜80mg/L程が多い)
もちろん、人体に全く影響がないとは言えませんが、ワインに入っている二酸化硫黄で致死量に達するには、毎日ワインを20本ほど飲まなければならないそうで、そんなことをしたらまず肝臓がやられます・・・。
実はこの二酸化硫黄(SO2とも呼ばれています)は醸造をする間の科学反応で僅かながら自然に発生します。
ですので、人間がこれを一切添加をしなくても、ワインの中には含まれています。そして先ほど見たように適量であれば、全く問題ありません。今のビオおよび自然派と呼ばれているワインは、この二酸化硫黄も極力減らそうとしています。その結果、ビン内で好ましくない反応が起こり、健全でないワインになってしまいます。こういった健全でないワインを飲むほうがよっぽど人体に影響があるのではないかと思われます。
いろいろな造り手と話して、またいろいろいなワインを試飲して理解したことは、実際にビオ認定を受けていても、畑仕事が雑で、草は伸び放題、病気は蔓延しているような畑から、ビオの名を名乗れば売れ行きが上がるので、収量を増やし潜在力の無いブドウを造っている造り手と、常に畑を観察し、様々な農法がある中で、頑なに昔ながらの自然に近いブドウ造りをし、またワインの質の向上のために収量を抑え、健全で味わい深いブドウを造っている造り手。
どちらもビオという観点から見れば、同じですが出来上がるワインは全く別のものです。
本当に良いものを造ってくれる造り手は、ビオや自然派という名称を使わなくても、そのよさは伝わってきます。
「今後のワイン業界は、大量生産、大量消費の時代ではなくなると確信したのは、80年代のことでした。除草剤、化学肥料、殺虫剤のおかげで安定し効率よくブドウを造ることが出来ましたが、ふと畑を見てみると今までバランスを保っていた微生物や他の植物とのバランスがおかしくなっているのではないかと考えました。実際調べてみると微生物は全くと言っていいほどいませんでした。そのようにバランスが崩れると必ず新しい外敵がやってきます。その外敵を駆除するため、また新しい農薬が必要になってくる。そうすると我々が一番大切にしてきたテロワール(土壌特性、風土)の概念が根底から覆ってしまう。そこがこのような昔ながらの農法に戻した始まりです。でも今の状態になるまで、最初の3年間は本当に大変でした。周りの畑で農薬を撒くと、すべて家の畑に逃げ込んできますから・・・。ても不思議なもので収量を減らし、力強いブドウ造りをすると害虫への耐性も強くなるしテロワールも表現してくれる、そして何よりワインになった後、とても味わい深いワインになってくれて、熟成もいい感じで進んでくれる。」
私は今まで、フランス中の造り手と話をして、試飲をし本当に素晴らしいワインを飲ませてもらってきた。
その中でも特に印象に残っている造り手を振り返ってみると、限られた時間の中でほとんど畑のことを話していたような気がする。その時には、ビオとか自然派という言葉は出てこなかったけど、実際行っていることはすべてビオなり自然派と呼ばれる造りをしていたと思う。共通して言えるのは、その人たちのワインがビオなり自然派という看板で勝負するのではなく、その「人」そのものが前面に出たワインだった。
昨今の自然派が表に出たワインを飲んでどうも納得できなかったので、前回、今回とこの内容にコラムにしてみたが、本当に体に良いワインは、良いブトウから出来ていると確信した。
でも、一番人体に影響のあるのは、アルコールですから、飲みすぎには注意しましょう・・・
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