■ボルドー地区のブドウ畑 (2005.11)
2005年11月1日撮影
今月は、いろいろなワイン産地に行く機会がありました。シャンパーニュ、ブルゴーニュ、ローヌそしてボルドー。どの地区も聞く言葉は、最高の年とのこと。楽しみです。

そろそろボジョレ・ヌーボーの季節ですね。ちょうどボジョレ地区にも行く機会があったので、瓶詰め直後の出荷待ちの段階のを一足早く試飲させてもらいました。
果実味と酸味のバランスがとても良く、とてもボジョレらしいフレッシュでフルーティーなワインになっていますよ。
ブルゴーニュでは単一品種の為、すべてのブドウの葉が黄色に変わりとても綺麗です。ボルドーではいろいろな品種を植えるのでどうしても均一にならず、また気候の関係で黄色になるのは珍しいのですが、今年は10月が記録的に暖かくゆっくりと気温が下がってきたので、このような状態に。
2005年11月1日撮影 カベルネ・ソーヴィニョン種
■ワイン醸造に思うこと
ワイン造りは紀元前6千年前から、またそれ以上前からと言われています。
それは、ブドウが潰れれば皮にいる天然酵母のおかげで、果汁の中にある糖分がアルコールに変わり、ワインになるという、非常に簡単な原理だからです。日本酒などの他の酒類は原料に一度手を加え糖分に換えなければなりません。

しかし、今現在のワイン造りは人間の手によって完全に把握されていると言っても過言ではありません。
天然酵母を使い、発酵させる所は今でも多々ありますが、その酵母に限っていえば、香りをよりよく出す酵母、温度が低くても問題なくアルコール発酵行ってくれる酵母などなど、培養酵母と呼ばれるものを使っている造り手が多いことも確かです。

また、「エノログ」と呼ばれる醸造学者が何か問題が発生すると改善を図り、今では醸造が失敗して収穫したものが全部ダメになってしまうと言うことはありえなくなりました。

ただ、アルコール発酵の後におこるマロラクティック発酵と呼ばれるものは、乳酸菌が関与するのですが、その謎は完全に解明されていません。その菌を植え付けたりする技術や、適正温度は20℃ぐらいなど、ある程度のことは解明されましたが、年によってまったく動いてくれなかったり、逆に早すぎたりなど、この発酵が完全に終わってくれると造り手は安心するそうです。
ボルドー地区では、その発酵をおよそ1週間ほどで終わらせてしまいますが、ブルゴーニュでは、来年の春になっても終わっていないという場合が多いです。

まだ、アルコール発酵も終わっていない段階なのに、「今年はマロラクティック発酵は間違いなく上手くいく。」
とは、ブルゴーニュ最高峰のワインの一つを生産する造り手。
「ブドウの出来が良かったからね。このような年の醸造法は簡単だよ。ほっとけばいいのだから。後は自然が勝手に進めてくれる。」

「今年はブドウが良すぎた。糖度が上がりすぎて、アルコール発酵が上手く終わってくれないんだ・・・。アルコール耐性の強い、酵母を始めて使ったよ。」とは、ボルドー地区の取引先。
「良い年ほど、醸造は苦労する。でもそれを乗り越えれば最高のワインができる。」

これは、ほんの一部の話だけれど、本当にワイン醸造は奥が深い。そしてどれが正しいという答えもない。

いろいろな選択肢がある中、培養酵母を使ったり、あえて自然に任せるという選択。そこには造り手の強い意思が伝わる。そしてその思いはワインになると何処かに現れてくる。

赤ワインが美味しい季節ですね。
加藤尚孝
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