■2005年9月号
ボルドー地区は8月の間、ほとんど雨が降りませんでした。2003年のような酷暑もなく、今のところ理想的な状態でブドウの成熟が進んでいます。ボルドーで毎年一番早く収穫を始める、シャトー・オーブリオンは白ブドウの収穫を8月24日から始めています。一般的なシャトーの黒ブドウは9月19日頃から収穫が始まる予定です。
ボルドー地区のブドウ畑
2005年8月30日撮影
色づきも終わり、メルロは今食べても美味しいぐらい糖度が上がってきました。カベルネ・ソーヴィニョンはまだ青臭さがあり、完熟には程遠いです。下部の写真(ピンボケですみません。)を見て頂くと分かるように、メルロとカベルネ・ソーヴィニョンでは、粒の大きさがかなり違います。カベルネ・ソーヴィニョンは日本の種無しブドウぐらいの大きさです。
<初秋に思うこと、ワイン用ブドウの食べ方>
日本では、そろそろ食用ブドウが出回る季節になってきました。こちらも朝夕はかなり涼しくなり、また日が短くなってきて嫌でも秋の到来を感じさせてくれます。
ここ一週間、ほぼ毎日いろいろなシャトーに通いブドウの状況を見てきましたが、本当に理想的な状態で進んでいます。
思い出すのは6年前、造り手と一緒に畑でブドウを食べながら喋っていたときの事、私は子供のときからの癖で、ブドウの皮と種はペッペと吐き出していたのですが、それを見て笑いながら彼はボリボリ種も皮も食べている・・・。
「皮も食べるのですか?種は食べて苦くないですか?」
「ブドウは皮の周りの果肉から甘くなり、種の周りの果肉がその後に熟す。その種の周りの果肉が熟すと次は種も熟す。この種の苦さがなくなったときが、ブドウが本当に熟した時なんだ。そして今度は皮を噛み砕く、種まで熟したブドウの皮は次から次へと味わいが広がり、ワインになった時の味わいが想像できる。ワインの味わいを決めるのは果汁ではなくて、種の周りの果肉と皮と種なのだよ。果汁を分析して、糖度と酸度を測るのは確かに大事だけれど、この味わいの予想は人間の舌で無いと出来ないからね。種、皮を食べないということは、表向きのものだけ見て、本質を知ることを自ら投げ出しているようなものだよ。」
それ以来、ブドウは種、皮まで噛み砕いて食べるようになった。確かに「完熟」したブドウを種、皮まで食べるといろいろな味わいが出てくる。しかし果汁は甘いのに、「熟していない」ブドウの種はまず硬く、なかなか噛み砕けない。無理して噛むと渋柿を食べた後のような強烈な渋みが襲ってくる。そして皮を噛むと青臭い香りが漂ってくる。
造り手ではないので、将来どのような味わいのワインになるかまでは分からないが、いろいろな場所のブドウを食べ比べると同じ品種でもものすごい差があるので、とても興味深い。今ではそれが生産地ごとにワインの味わいが違う理由になっていると理解できる。
他のアルコール飲料ではまずありえない、原料のブドウが物凄く重要な役割をしているのがワインに惹かれる理由かも知れない。
その造り手と久々に先週会った。
「ブドウの状態良いですね。でも種はまだまだ硬いですね。」
当たり前だよ。という顔をしてまた笑っていた。
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