■Que es esto ? これ、なぁ〜に? Vol.2
スペイン内陸部ワイン産地でのワンシーンです。青々としたブドウ畑に囲まれて中央に密集したこの土蔵群、何だかお分かりになりますか?
答えはコラムの後半部分ですので、持ち前の想像力を発揮してお考えください。

さて、スペインのワイン醸造の歴史は古く起源前にまで遡ります。紀元前10C以降フェニキア人、ギリシア人といった地中海諸民族が到来して地中海沿岸部を支配し、イベリア文化と呼ばれる土着文化の発展とともに、ワイン醸造技術の伝承に貢献したのがこの半島でのワイン造りの始まりと言われています。

とりあえず、スペインワイン醸造の歴史についてはまた別の機会にお話しするとして、今日はこの歴史の長さゆえの別の話題を・・・。

「ワインの無い食事は太陽の出ない一日」と名言を残したのはゲーテですが、スペインでもこの長いワイン醸造の歴史の中から生まれた名言やことわざがあります。

Con pan y vino se hace el camino
(パンとワインがあれば、道が開ける)

パンとワイン、つまりキリストの最後の晩餐をシンボリックに表わし、信念と希望があれば道は開けると伝えています。

No hay nada mejor que el vino para la salud.
(酒は百薬の長)

紀元前からワインは単なるアルコール飲料としてではなく、滋養薬として珍重されていた歴史が言わせる名言です。ただし過ぎたるは及ばざるが如し・・・、飲みすぎにはご留意を!

Amigo y vino, el mas antiguo
(友と酒は古いほど良い)

ワインはビンテージ物ほど美味しいという価値観は既に前時代のものとなりましたが、
とはいえ日本のことわざ、『女房と畳は新しいほど良かれ』と比較文化論をしたら面白いかもしれません。つきつめれば同じことを言っているのでしょうけど、物事の切り口の違いがユニークです。古きことをプラスに捉え、その歴史に付加価値を感じる、欧州ならではの価値観が根にあるように思われます。

この写真の土蔵が作られた時代は明確には分かっていませんが、この行政区に残されている書面では16世紀には既に存在していたことが分かっています。古くはこの周辺のブドウ畑で働く小作農民達が収入の一部として分け与えられたワインを貯蔵する場所であり、多くの土蔵には小さな祭壇が祭られていたと聞いています。市民戦争時(1936〜1939)には中に防空壕を掘り、家財や貴重品を隠す場所として機能しました。また、つい最近まで、農作業の合間に一杯やりながらお弁当を食べたり、お昼寝(シェスタ)をする場所として使われていました。

移り変わる時代時代のニーズにそって、用途を変え、使い続けられてきた土蔵たち。
ふと、炎天下から土蔵の一つに足を踏み入れてみました。思いの外涼しくて、乾いた風と何世紀も経た土の香りが心地良い、時の流れを忘れさせる空間でした。
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