私はフランスに来てから早いもので、9年になります。毎年、この時期は夏時間になって日が長くなり、ブドウの木の芽が芽吹きと、春をいやでも感じさせてくれます。

写真は、ブドウの芽とそのそばで咲いていた桜。こうした季節の写真もご紹介していきたいと思います。
2005年4月号
ワインは楽しい

私はフランス・ボルドーという地でワイン輸出業をしています。ボルドーには、シャトー・マルゴー、シャトー・ムートン・ロトシルトなど世界中のワイン愛好家が求める偉大なワインがたくさんあり、毎日そのようなワインを飲んでいると思われがちですが、全く違います。そのようなワインはすでに19世紀から販路がきっちりと出来ていて、私のような新規参入業者には非常に敷居の高い市場です。

したがって、このような販路に入っていない、まだ埋もれている、有名になっていないが素敵なワインを造る、造り手を発掘し、日本の輸入業者に紹介するというのが、私の生きる道であり、日々の仕事になっています。

その為には、やはりまず飲まなければ・・・ということで、年間におおよそ1,000種類ものワインを飲んでいますが、それをどう選別して日本に紹介するか。というのが本当に難しい。

しかし、何年もワインを飲み続けてくると不思議な感覚が生まれてきました。
フランス人、特にワイン農家の人々は非常に個性的で、一昔前にいた日本の頑固親父のよう。でも意思が通じ合うと本当に親身にそれこそ本物の「オヤジ」のように接してくれる。
そして、

「その『オヤジ』の性格やワインに対する情熱などの人間臭さが、ワインの味わいに現れてくる・・・。」

このことが分かってからワインがますます面白いものになってきました。外側から見れば、何の変哲も無いブドウから出来た液体なのに、その中に関わっている人間が垣間見れ、主張している。味わいや醸造法などをいくら口で説明しても、なかなか本質は伝わらないが、その造っている人の人間性は伝わりやすい。そしてその主張が伝わるとより美味く感じる。

どんなワインでも一本一本に必ずストーリーがあります。もし飲んでみて平ぺったく主張が感じられなかったら、そのワインに関わった人間が何処かで手を抜いているはずです。信じられないかも知れませんが、価格がとても高いボルドーの有名シャトーワインでもたまに主張が感じられないときがあります。逆にデイリー価格のワインなのに信じられないほどの主張をし、飲んでいて本当に楽しくなるワインが沢山あります。

ワインと聞いただけで毛嫌いしていらっしゃった方々、ワインは難しいからと避けていらっしゃった方々、ぜひ一度ワインを試してみてください。もしかしたらライフスタイルをもっと素敵に変えてくれる、素敵な「オヤジ」との出会いがあるかもしれません。もし、ご自分の好みの味わいと違っていてもすぐに駄目だししないで下さい。次の日に飲むとまた違った印象が得られるかも知れません。

ワイン無しでは生きていけないという、ハードユーザーの方、ぜひ我々がセレクトしたワインをお試し下さい。造り手がワインの中に込めたメッセージを感じ取って頂けるはずです。

そして「ワインは楽しい」一人でも多くの方にそう思って頂けたら、こんなに嬉しいことはありません。
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